チャッピー君のこと



2023.03.01
内野順子


こんばんは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。

忘れられないご葬儀のお話です。 もう7年ほど前になりますが、70代のご婦人のご葬儀の司会をさせていただきました。

故人様は、お嬢さんが嫁がれた後、ヨークシャーテリアのチャッピー君と2人暮らしをしていらっしゃいました。けれど病魔に冒され、入院を余儀なくされたため、泣く泣くチャッピー君をお嬢さんに託されました。 お嬢さんが帰宅すると、チャッピー君はいつも寂しそうな目で窓の外を見ていたそうです。

チャッピー君はケージに入れられ、式場の一番後ろの席でご葬儀に参列しました。読経の間もおとなしく、ほとんど動く気配さえ見せませんでした。

そして最期のお別れ。ご遺族・ご親族がお棺の中にお花を手向けていきます。お嬢さんがケージからチャッピー君を出して、抱き上げてもの言わぬ故人様のお顔のそばに近づけました。その時。

「クーン…」

小さな小さな声でチャッピー君は哭き、愛する人に最後の別れを告げました。ご遺族の嗚咽が漏れ、私たちスタッフも思わず天井を見上げ涙を堪えました。

犬も猫も、あるいは他の動物も人の愛情を理解し、心を深く通わせることができます。でも世の中に目を向ければ、それができない人間の何と多いことでしょう。

殺伐とした事件が横行する日常、大きな目を見開いてお棺の中の故人様を見つめていたチャッピー君のことを今も思い出します。

♡ご葬儀の中に見る心のふれあいを綴った私の著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」(花乱社)。好評発売中です。Amazonなどネット書店でもお求めになれます♡

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内野順子

大学在学中にアナウンスサークルに所属しブライダル・イベントの司会を始める。 以来、約8,000件の披露宴、約1,000件のイベントで司会を務める。 40代から葬儀司会に携わり、現在年間250件以上の葬儀司会に加えイベントも務めるマルチ司会者として活動中。 葬儀では、温かな司会をモットーとし,終活カウンセラーとしても活動、司法書士や行政書士などとコラボし、セミナーを定期的に開催。 2022年4月、葬儀で垣間見る家族や友人らとの心温まるエピソードを綴った著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」を全国出版。 福岡県太宰府市在住。家族は28歳の長男。


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