東京オリンピックの仕事~アクセシビリティ
長谷川文
音声ガイドとコメンタリーガイド
東京オリンピックとパラリンピックの開閉会式で私はコメンタリーガイドの仕事をしました。コメンタリーガイドとはいわゆる音声ガイドです。普通の音声ガイドと違うのは、目の不自由な方だけではなく、老若男女、障がいのあるなしに関わらずすべての方に楽しめることを目指したガイドということです。
絵画展などでも音声ガイドはありますが、どちらかというとそちらは絵の説明となります。絵画をみながらその解説を聞いていくようなかんじですね。コメンタリーガイドはまず、そこにどんな絵がどんな色で描かれているのかということから説明していきます。
オリンピックでも、まずは登場人物がどの方向からどんな格好をして登場したのか、その人が何をしているのか、さらにその演出にはどんな思いがあり、何を伝えたいのかというところまで深堀していきます。
これだけの情報を全て盛り込むのは少し大変でもありました。全部を説明することはできないので、どこまで伝えるのかという情報の取捨選択には苦労しました。
なぜコメンタリーガイド?
コメンタリーガイドは目の不自由な人には少し情報量が足りないかもしれません。しかし、誰にでも楽しめるという点では、今後小さな施設でも取り入れやすくなってくるのではと期待しています。
例えば絵画展で音声ガイドをかりても目の不自由な方にとっては、どんな絵があるのかが想像できなくては説明をきいても物足りません。しかしながら、目の不自由な方だけに向けた音声ガイドを作ろうとなると、予算の関係から削られてしまうこともあるかと思います。
絵画の説明をしている通常の音声ガイドに少し視覚情報もプラスすることができれば、100%ではないですが、障がいのある方もない方も同じように楽しめるようになるかもしれません。
オリンピックでのコメンタリーガイドは、自分のスマートフォンで聴けるというのもいいところでした。専用の機械を施設が用意しなくてもいいのです。
東京オリンピックとパラリンピックで初めて実施したコメンタリーガイドですが、横浜市の里山ガーデンフェスタで試験的に取り入れるなど少しずつですが認知されるように活動しています。