高齢出産と一人息子、その訳 (下)



2020年4月10日
川崎けやき


『高齢出産、やっぱり大変でしたか?』

先日、年下の友人に聞かれました。
大変だったのは、どの部分だろう…?

6回目の妊娠で初めて生まれてきた息子のお話…
想いの変化とともに、前回の続きを少し。
(あまり重くならない感じで…)

…………

✴︎1度目妊娠 (流産)…36歳
✴︎2度目妊娠 (流産)…37歳
喜びから一転し初めて受けたショックがとてつもなく大きく…
再びそれを経験することになった事実に、
自分自身を深く責めていた日々でした。


✴︎
3度目妊娠 (子宮外妊娠)…38歳 を経て…

✴︎4度目妊娠 (流産)…39歳
不思議な事に、なんとなく今回も…
そう予想してしまっている自分がいて、
『さて、どうしたらいいのか?』
その先を考え始めていることに気づきました。
子宮筋腫を取り除く手術をしました。


✴︎
5度目妊娠 (流産)…40歳

『落ち込むだけで過ごす時間は、もったいない。』(←40代に突入)
こころを整えて、いつか来てくれるだろうその日を夢見て、前に進もうと考えている自分がいました。

ちょうどその頃は、仕事で百貨店でのジュエリーイベントなどにも出店する機会をいただいて、忙しい日々を送っていました。快く手伝ってくれる友人に助けられ、職人さんや工房の皆さんに支えられ、自分のジュエリーを求めくださるお客様がいるという事実に救われていたように思います。


✴︎
6度目妊娠…41歳

そして、41歳の夏、バケーションでNew Yorkを訪れようと計画していた矢先、6度目の妊娠がわかりました。
子宮の内視鏡や血液検査で、今一度、母体のチェックも終えたところの出来事。

『今度は子供の顔を見る事ができるかもしれない。』
そんな予感がしました。

ですが、簡単な道のりではありませんでした。
毎日、血液が固まらないようにする薬を自己注射していましたが、切迫流産の危機にて、妊娠したまま手術をし、5ヶ月間そのまま入院し続けました。


✴︎
ようやく出産 …42歳

『生まれた子をこの手で抱く日がくるまでは誰にも言えない。』
5ヶ月間、おとなしく病院のベッドに横たわり、ようやく迎えた出産の日!
やっと点滴も外れ、子供を産んで…
まるで役目を終えたかのように燃え尽きた気持ちでした。
子育てはこれからなのに、です。

 

出産に至るまでの日々は
決して平坦とは言えませんでしたが
少しずつ心にも変化がありました。

天国から地の底へ落ちたような気持ちから…
たくさん涙を流して赤ちゃんが戻ってくるなら、ずっと泣いていよう。
でも、そうじゃないなら前を向こう!そう思えるようになったのです。

戻ることができない過去を想い続けるだけでなく、前を向くことの先にある『光』を見ることができたことは、私の人生にとって大きな財産となっています。

 

『秋に入院して春に退院。越冬したね…!』
明るく笑う、穏やかな性格の夫のおかげかもしれません。ははは。

ふらふらとした足取りで退院したあの日、
『桜はどんな時もちゃんと咲いてくれる。』
眩しい青空を見上げ、春の匂いと風を感じたことを覚えています。

その後…
息子が1歳のときに、妊娠がわかりましたが (43歳/流産) 弟もしくは妹を産んであげる事は出来ませんでした。

高齢出産で、息子を一人授かっただけでも、
ありがたいことですよね!
桜の花が、毎年、そう思わせてくれます。 

来年の春には、全ての人がそれぞれ幸せな気持ちで桜を愛でることができるような世の中になっていますように…
今は、そう願うばかりです。

 

また、お会いしましょう。
川崎けやき
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川崎けやき

大学を卒業し一般企業に勤めるものの、約半年で転職。転職先は服装や髪型など身だしなみについての規定が厳しい会社で、常に統一美を求められた。しかしせめてもの自己表現として、お気に入りの指輪をひとつ身に着けていたという。そんな中、お客様との接客中に受けた一言に感銘を受け、ジュエリーデザイナーを志すようになる。4年間、働きながら夜間のジュエリー専門学校に通うために、国の助成金も活用した。しっかりと技術を身に着けた後は、友人から結婚指輪のデザインなどを依頼されるようになる。やがてその評判は人づてに広がり自身の名「けやき」の学名から「Zelkova.K(ゼルコーバ・ケイ)」というブランドで独立。都内百貨店でのイベントやギャラリーでの展示販売も多数開催(現在は完全紹介での制作のみ)。ご主人と5歳の息子の3人家族。



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