東京オリンピックの仕事~コメンタリーガイド①



2023.03.11
長谷川文


東京2020オリンピック&パラリンピックで採用されたガイド

コメンタリーガイドとはいわゆる音声ガイドです。音声ガイドというと、目の不自由な方へ視覚情報をお届けするものと、絵画展などで絵画の解説をするものがありますが、コメンタリーガイドはそのどちらも取り入れたガイドです。

目の不自由な方だけでなく、すべての方に楽しんでいただけるガイドで、その音声情報は耳の聞こえない方へ文字のガイドとしても送られます。

 

アナウンスと台本作り

東京2020オリンピックとパラリンピックの開会式・閉会式の全部で4式典で私はコメンタリーガイドのお仕事をしました。最初は進行に合わせて台本を読むだけということでしたが、台本作成もお願いしたいと言われ、台本の作成からしました。私の他にもう一人、元NHKのアナウンサーの方と一緒にお仕事をすることになりました。

台本作成は考えていたよりもずっと大変でした。というのも、式典のリハーサルをみながら、視覚情報とそれ以外のコンセプトなどを全て説明すると時間が足りません。開会式では、会長の挨拶や国旗掲揚などの他に、たくさんのパフォーマンスが披露されます。それぞれにこだわりがあり、説明したいことがたくさんあるのです。久々に何度も徹夜をしながらの作業となりました。

出来上がった台本は、2人でシーンごとに分担して読んでいきます。ただ読むのではなく、目の前で行われているパフォーマンスのタイミングに合わせます。「(会場の方位を時計に見立てて説明し)会場2時の方向から走ってきたのは…」など。パラリンピックの時は会場の至る所で同時に違うサーカスパフォーマンスが披露されていました。どの順番で読むのか、カメラが抜くタイミングは、など考えることがたくさんありました。

とても大変でしたが、大変勉強になり、徹夜さえも楽しい充実した時間でした。

ということで、今日は2年前に開催された、東京2020オリンピック&パラリンピックでどんなお仕事をしたのかというお話でした。続きはまた。

 


長谷川文

東京都世田谷区で生まれ育つ。 大学卒業後、テーマパークに勤務。接客をはじめ、キャラクターの30周年イベントやバースデーなどの企画運営に携わる。館内での結婚式の司会やプレス発表、こどもイベントのMCを経験するうちにかねてから憧れていたアナウンサーの世界へ飛び出すことを決意。 退社後はフリーアナウンサーとなり、結婚式や企業の決算説明会、懇談会などの司会者として活動。感動のお手伝いをする司会の仕事はとても楽しく、現在も司会を通した社会貢献をテーマに活動の幅を広げている。 東京2020オリンピック・パラリンピックの開閉会式のコメンタリーガイドとして国立競技場で音声ガイドも担当。 現在は3人のこどもを育てる傍ら、FMふっかちゃんパーソナリティやアナウンス講師として活動。その他、小学校や子育て支援センターなどでの読み聞かせボランティアもしている。


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