ピンチはチャンス…戸惑い編



2021.03.18
鈴木 アヤ子


これから数回にわたり私のお話をさせて頂きます。

ピンチはチャンス!!

という言葉は何度も聞いていましたが実感はありませんでしたし、自分にこの言葉の真の意味を知ることが来るとは夢にも思いませんでした。

それまで平々凡々と子供、夫に囲まれ片手間に歯科の仕事をする通の主婦でした。

 

ところが10年前の震災を機に人生が大きく変わりました。

   突然夫が帰って来なくなりました。

地方の学会でさえ日帰りで帰ってくる家族思いの夫未曾有の大震災の夜帰ってきませんでした。

何が起こったのか全く意味が分からず頭が混乱状態

今思い返してもヒステリックに泣いたり、夫に電話して怒鳴りつけたりと離れた夫の心を取り戻すどころか、ますます凍りつかせた行動を取っていました。

まさに悲劇のヒロインのように裏切られた哀れな可哀想な女そのものの気分でした。

余震と計画停電が続く中突然の離婚申し立て書類の速達郵便

驚く間も無く状況はどんどん悪くなり

支払いの名義が徐々に私名義に変えられ、永住の地と決めリフォームしたばかりのマンションでさえ知らない間に売りに出され内覧までされていた時は怒りというより悲しみで胸がはち切れそうでした。

お金に関する全ての事は夫に全部任せお財布は夫が管理していました。

まさかこんな日が来るとは

夫を心から信頼し頼りきっていました。

 

絶望感の中感じたのは

主婦、女性の立場がいとも簡単に崩れ去る現実。

家庭に入るということはこうも弱い立場に安易に立たされてしまうという悲しい世の中。

生まれて初めて目が覚めた瞬間でした。

しかし何をどうしていいのかその時は途方に暮れただただ泣いてばかりいました。

 

 


鈴木 アヤ子

歯科大を卒業し歯科医師免許を取得するが、まもなく結婚し専業主婦となる。40代半ばでの離婚を機に、突然母子3人家族となる。生活のために、「自分の武器になるのは歯科医師の免許しかない」と一念発起。歯科医院で新米見習いとしての仕事を見つけ、下働きをしながら厳しい研修の日々を送る。やがて努力が実を結び、東京・江戸川区で『西葛西クララ歯科医院』を開業。女性の目線に立った、気配りのある歯科医院として地域に親しまれている。


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