憧れの人
内野順子
こんにちは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。
今回「アコガレニスト」になったからという訳ではないですが「憧れ」って昔から好きな言葉。憧れは人を動かす大きな力となり、人を幸せにするチカラも持っていると思います。
ある日のご葬儀。故人様はまだ60代の女性。主婦としてご主人様を支え、一男一女、2人のお子様を愛情深く育まれました。中でもお料理はどれも絶品。それもそのはず、もともと故人様は料理人。 喪主であるご主人様が話してくださいました。
「(妻は)憧れの人やったんです。結婚の申し込みを受けてくれた時は、飛び上がって喜んだもんですよ」
ご結婚45年目、共に勤務しておられたホテルの厨房で知り合われたお二人。当時はまだ女性の料理人は珍しかった上に、美人で気さくな故人様に想いを寄せる同僚も少なくなかったそう。 けれどご主人様の一途な想いは実を結び、知り合って4年後にご結婚。 毎日、栄養のバランスを考えた彩り豊かな食事を食卓に並べた故人様。お子様方のお弁当はクラスでも評判になるほど。家族のお誕生日にはケーキを焼き、そしてなによりも、いつも笑顔を絶やさず気遣いのある人だったそう。
「本当に幸せな毎日やったです。今でも彼女は、ずっと私の憧れの人ですよ」と潤んだ目でおっしゃったご主人様。
「お父さんったら、葬儀の席でまでのろけちゃって」とお嬢様が笑っていらっしゃいました。 この高齢化時代、60代でのご逝去は決して長生きとは言えないけれど、こんなにも愛され、故人様はきっとお幸せだったことと思います。
ご出棺の時、ご主人様は故人様のお位牌を大切に胸に抱きかかえて霊柩車に乗り込まれました。 それはまるで、冷たい風から守るかのように。
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