チャッピー君のこと
内野順子
こんばんは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。
忘れられないご葬儀のお話です。 もう7年ほど前になりますが、70代のご婦人のご葬儀の司会をさせていただきました。
故人様は、お嬢さんが嫁がれた後、ヨークシャーテリアのチャッピー君と2人暮らしをしていらっしゃいました。けれど病魔に冒され、入院を余儀なくされたため、泣く泣くチャッピー君をお嬢さんに託されました。 お嬢さんが帰宅すると、チャッピー君はいつも寂しそうな目で窓の外を見ていたそうです。
チャッピー君はケージに入れられ、式場の一番後ろの席でご葬儀に参列しました。読経の間もおとなしく、ほとんど動く気配さえ見せませんでした。
そして最期のお別れ。ご遺族・ご親族がお棺の中にお花を手向けていきます。お嬢さんがケージからチャッピー君を出して、抱き上げてもの言わぬ故人様のお顔のそばに近づけました。その時。
「クーン…」
小さな小さな声でチャッピー君は哭き、愛する人に最後の別れを告げました。ご遺族の嗚咽が漏れ、私たちスタッフも思わず天井を見上げ涙を堪えました。
犬も猫も、あるいは他の動物も人の愛情を理解し、心を深く通わせることができます。でも世の中に目を向ければ、それができない人間の何と多いことでしょう。
殺伐とした事件が横行する日常、大きな目を見開いてお棺の中の故人様を見つめていたチャッピー君のことを今も思い出します。
♡ご葬儀の中に見る心のふれあいを綴った私の著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」(花乱社)。好評発売中です。Amazonなどネット書店でもお求めになれます♡
*Facebookページ* http://www.facebook.com/junko.uchino