伝えたい
内野順子
こんにちは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。
春らんまん!あちらこちらで美しい桜が咲き誇っていますね。アコガレニストブログでも、各地の桜情報が投稿され、楽しませていただきました。
今日は、ちょうど昨年の今頃、担当させて頂いたご葬儀でのお話です。
80代のご主人様のご葬儀でした。その9ヶ月前に突然倒れ、ついに最後まで意識が戻ることはありませんでした。 ご家族葬でしたが、優しく面倒見の良かった故人様を慕うご親族が式の前から大勢訪れておられました。 その中、1人ぽつんと式場内に座りご遺影を見つめておられた奥様。思わず「お疲れでしょう?」と声をかけました。 奥様は少し微笑まれて、
「主人にね、文句を言ってやりたいの。あなた、一緒に聞いてくださる?」
とおっしゃる。 「はい」と言って、お隣に座りました。
「こんなことになるくらいなら、言っておきたいことがたくさんあったの。結婚してから、とても楽しかったって。一緒に旅行もいっぱいしたし、何不自由なく過ごさせてもらった。本当にあなたのおかげだって。ありがとう、って言いたかったのに…」
あとは言葉になりませんでした。 涙を拭いながら「ありがとう」と言ってくださった奥様。明日は目覚めてくれるかも、と一縷の望みに賭けて過ごしてこられた9ヶ月は、どんな思いでいらしたでしょう。それを思うと胸が詰まりました。 奥様の思いが、故人様の魂に深く届いていますように、と願いました。
みなさんも、もし大切な方に伝えたい思いがあったら、できる限り言葉にして伝えてあげてほしいと思います。 生命は永遠ではないのですから。
*ご葬儀の中に垣間見る、家族・友人らとの心のふれあいを綴った私の著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」(花乱社)好評発売中です。Amazonなどネット書店でもお求めいただけます。