あるご夫妻の別れ
内野順子
こんにちは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。
ある日のご葬儀のお話です。 その人は、12年の年月をずっと闘い抜いて、永遠の眠りに着かれました。
故人様は60歳男性。 若き日は剣道に励み、お仕事に邁進され、40歳を過ぎてからひと回り年下の奥様とご縁あって結ばれました。 その時は、こんな過酷な運命が待っているとは思わなかったに違いありません。お子様は持たれませんでしたが、仲睦まじく暮らしておられました。 ご結婚から6年後、ご主人様を突然襲った病魔。徐々に筋肉が萎縮して行く難病でした。 お仕事もできなくなり、入退院を繰り返される日々。ですが、奥様に支えられ、懸命に治療にリハビリにと励んでいらっしゃいました。最後は、もう顔を動かすことも困難でしたが、わずかに目を動かされ、奥様とアイコンタクトで気持ちを交わしておられたといいます。
「もう少し…生きてくれると思っていたんですけど…生きていて欲しかったな…」
奥様が呟かれました。
日々、生きたくても叶わない人を見送らせていただいています。 その中で、今自分が生きている意味を考えます。
葬儀の中に垣間見る人の生き方と周囲との絆を綴った、私の著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」(花乱社)。好評発売中です。Amazonなど各ネット書店でもお求めになれます。よろしくお願いします。