ある少年との会話



2023.05.14
内野順子


こんばんは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。

ある日のご葬儀のお話です。 開式前、式場で1人段取りを確認していますと、小学校3年生位の男の子が入って来ました。 そして私に言いました。

男の子「1人で怖くないんですか?」

私「怖い?どうして?」

男の子「だって…オバケとか出そうだから」

なるほど。私は男の子を促し、ご尊前へ行きました。

私「このおばあちゃんは、君の誰かな?」

男の子「えっと、僕のお父さんの叔母さんです」

私「そっか、じゃ、オバケってなぜでるのかな?」

男の子「それは…たたりとかそういうのが…テレビで見たから」

私「そうだね、その人に嫌な事や悪いことをすれば、たたりがあるかもね。君のお父さんとこのおばあちゃんとは、仲が悪かったの?」

男の子「いえ、すごく可愛がってくれたらしいです」

私「だとしたら、オバケじゃなくて、君を守ってくださる霊になると思うよ。きっと。 今日これからお葬式があるから、おばあちゃんの為に一生懸命祈って下さいね。そしたら、君はずっと守られて元気でいられるし、君が大きくなって結婚して、子どもが生まれたら、君の子どもも元気になる。おばあちゃんからいのちを受け継ぐのだから。」

男の子「ほんとうですか」

私「ほんとうだよ」

信仰を教える時、見返りを言うのは違うのかもしれないけれど、子どもに話す時はそれでもいいのかなと思います。

要は「いのちを受け継ぐ」ということが分かってもらえればいいと思いますね。

葬儀の間、男の子はずっと神妙な面持ちで、手を合わせていました。 火葬場へ向かうバスに乗る時、私にぴょこんと頭を下げて行った彼。 きっと、守ってもらえますね。

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内野順子

大学在学中にアナウンスサークルに所属しブライダル・イベントの司会を始める。 以来、約8,000件の披露宴、約1,000件のイベントで司会を務める。 40代から葬儀司会に携わり、現在年間250件以上の葬儀司会に加えイベントも務めるマルチ司会者として活動中。 葬儀では、温かな司会をモットーとし,終活カウンセラーとしても活動、司法書士や行政書士などとコラボし、セミナーを定期的に開催。 2022年4月、葬儀で垣間見る家族や友人らとの心温まるエピソードを綴った著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」を全国出版。 福岡県太宰府市在住。家族は28歳の長男。


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