ふぞろいの林檎 790
雨宮睦美

多様性の時代だから、ある程度バラエティーに富んだ選択肢があるのは、いいことなのかもしれないけれど、結局皆が行きたがるのは上位校に集中します。偏差値が35を切る大学は不合格者がいないため、合否判定ができないことからFランク大学なんて呼ばれるようになりました。今後、大多数の大学はこのFランク化に進んでいくと言われているのだそうです。国公立と一部の私立など、2割を除いて、8割はFランになっていく、という説も目にしました。
私はここ数年、いくつかの大学の依頼で高校の先生方や企業の採用担当に話を聞く機会が何度かあったのですが、大学に求められることと、大学が目指していることが、ことごとく、ずれているのを感じました。学部ごとにユニークなコンセプトや授業内容を用意して、自信満々で呈示したところで、高校側は結局、学部よりも知名度と偏差値でまず大学名から選ぶ。デジタルや語学教育の充実を謳ったとしても、企業は「まあそれより素直で元気な学生さんに来てもらえれば」なんて言う。とどのつまり、大学に求められることって、なんなんでしょうか。
40年前にヒットした名作ドラマ『ふぞろいの林檎たち』は、四流大学に通っているというコンプレックスを抱えた大学生たちのリアルを描いていました。確か初回のタイトルが「学校どこですか」で、主人公たちが大学名を偽ってコンパを開いて女の子たちと出会い、でも彼女たちも女子大生のふりをしている看護学校の学生だった、という始まりだったと思います。790も大学があったら、こんなドラマは生まれようがなかったかもしれません。