関係性と世界線
雨宮睦美
最近ネットを見ていて、あれ?と思う言葉がいくつかあります。なんでも略す時勢に逆行するように、一文字多いのです。その代表が「関係性」と「世界線」。
どちらも、タレントさんが自分の出演するドラマや映画の説明をするときなどによく目にします。
●関係性
「ここで彼らの関係性が変化していくのです」「このふたりの、これからの関係性にどうぞご期待ください」みたいな使い方。「関係」ではダメなの?
●世界線
「本来出会うはずのなかった世界線で」「生きる世界線の異なる相手と…」これも単に「世界」ではいけないの?
なんとなく、芸術的な感じがするんですかね。世界線はもともと「零次元幾何を持つ点粒子の時空上の軌跡」のことなんだって。さっぱりわからないけど一部のオタクの人たちが使い始めて、少しずつ意味が変容してきたようです。
他にも「婉曲的な表現」は「婉曲な表現」でいいし、「語彙力がない」は「語彙がない」でよいのでは?と思ったりします。
あ、あと私が気になるのは「楽曲」!「曲」もしくは「歌」でいいではないか。「私たちの今度の楽曲は…」って言うことで、やはりちょっと重みやありがたみが加わるのですかね。ベートーヴェンの交響曲なら「楽曲」でいい気がするけど、ジャニ系や坂系のアイドルに濫発されると抵抗があります。