関係性と世界線



2023.06.17
雨宮睦美


最近ネットを見ていて、あれ?と思う言葉がいくつかあります。なんでも略す時勢に逆行するように、一文字多いのです。その代表が「関係性」と「世界線」。
どちらも、タレントさんが自分の出演するドラマや映画の説明をするときなどによく目にします。
 
●関係性
「ここで彼らの関係性が変化していくのです」「このふたりの、これからの関係性にどうぞご期待ください」みたいな使い方。「関係」ではダメなの?
 
●世界線
「本来出会うはずのなかった世界線で」「生きる世界線の異なる相手と…」これも単に「世界」ではいけないの?
なんとなく、芸術的な感じがするんですかね。世界線はもともと「零次元幾何を持つ点粒子の時空上の軌跡」のことなんだって。さっぱりわからないけど一部のオタクの人たちが使い始めて、少しずつ意味が変容してきたようです。
 
他にも「婉曲的な表現」は「婉曲な表現」でいいし、「語彙力がない」は「語彙がない」でよいのでは?と思ったりします。
 
あ、あと私が気になるのは「楽曲」!「曲」もしくは「歌」でいいではないか。「私たちの今度の楽曲は…」って言うことで、やはりちょっと重みやありがたみが加わるのですかね。ベートーヴェンの交響曲なら「楽曲」でいい気がするけど、ジャニ系や坂系のアイドルに濫発されると抵抗があります。
 
だけどこうして足したり引いたりしながら、日本語はまた変化していくのでしょうね。

雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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