大学で講義のお手伝い②



2023.07.12
雨宮睦美


近郊某大学にて。4月に課題をオリエンした学生さんたちから、本日は最終プレゼンを受ける日でした。「時間がかかると思うので少し早めに来てください」と依頼されていたにもかかわらず、どうしたことか計算を間違えて、大幅に遅れる体たらく。電車を乗り継いで最寄駅からはタクシーで、家から1時間以上かかるのはわかっていたはずなのに!

 

ああもうほんとうに申し訳ありませんでした。

 

そしてそんな日に限って駅前のタクシー乗り場に長蛇の列。待つしかすべがない。並んでいるのはすべておじいさんとおばあさんです。

なんですか、こんな猛暑日の一番暑い時間に、きもだめしなんですか?無謀すぎやしませんか?

タクシーに乗るまでに30分かかって、私は身も心も焼け焦げるかと思いました。

当然ランチなんてスキップですが水すら飲めず、トイレに寄ってる時間も惜しんで、とにかく教室に駆けつけるのがやっと。

 

学生たちはこの3か月、4班に分かれて独自の作業を積み重ね、それぞれにユニークで面白い提案をしてくれました。

プレゼンテーションも企画書のデザインや配色なども、とっても上手です。無骨でも無粋でもいいから、うまくまとまらなくてなんだかよくわからないけど、勢いがある、なんていうことを期待してしまうのは、ないものねだりかもしれません。

お互いの発表への質問やコメントなどを聞いていても、意地悪だったり揚げ足取ったりすることなく、相手に敬意を表して、でも鋭いポイントを柔らかく指摘したりする。いい子たちだなあ。

 

講義の終了後、せめて遅刻したお詫びで、残れるだけ残って学生たちとおしゃべりをしました。

夏休みが終わったら秋課題、冬課題(今回の発表が春課題)。3年生だから就職のことも現実味を帯びてくる。

「私は、今のゼミでやっているこういうことを、仕事にしたいです。どこへ行けばいいんでしょうか!」と質問してきた子がいました。

「どんな企業に行ったとしても、マーケティングは必要だし、皆が取り組んでいることです。でも、私たちの時代とはもういろんなことがすごく変わってしまった。大きな会社に入れれば安泰で好きなことができるとは限らない。小規模の企業のほうが小回りが利いて話が早い、ということだってある。価値観も選択肢も、すごく広がっていると思います。」と、しゃべりながら、あれ、私そんなこと考えてたんだ、と後から気がついたりして。

真剣に進路について語る友だちの隣で、「あたしはとりあえず、宝くじを買います」と言う子も(笑)。

 

若者たちの未来が、今日の青空みたいに晴れ晴れとしていますように。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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