別人格の誕生
雨宮睦美
新しい名前をゲット
私の名前は姓名の両方にMが2つずつあって、はっきりしないというか、みゃーみゃーとくぐもった音になってしまいます。特に海外の方にとっては、アメミヤもムツミも非常に発音しづらそうで、なんか申し訳ないなーという思いがいつもありました。
2011年、とある仕事で中国に出張したとき(あの東北大震災の直後でした)、同行した中国系カナダ人の方が、「英名をつけてあげよう」と言ってくれたのです。そうよね、アジア系の人って自分で英語名つけたりしてるし、日本人も赴任先でDavidとかBobとか名刺に入れているよね。海外仕事ってそんな頻繁にあるわけではないけど、私もやってみたい!とお願いしたことで、Amy(エイミー)というミドルネームが誕生しました。
やっぱりMは入ってるけど、エイミーには何かこう、きっぱりした印象があります。みゃーみゃーもやもやしていた私も、この名前ならカッコよく、てきぱきと仕事をこなしていけるんじゃないか。なーんて思ってFacebookの表記にもAmyを入れ、それでは飽き足らず名刺もMutsumi Amy Amemiyaで作り直しました。
もうすっかり生まれ変わった気分。新しい私。新しい明日。しかし、私は肝心なことを忘れていたのです。
名乗るチャンスがない
そうなんですよ。こんな時に限って、エイミーとして初登場する出番が驚くほど巡ってこない。元からの知り合いは「何、どしたの?アミ―って誰?」とか言って、正しく読んでさえくれません。「仕事ができるエイミー」のイメージを高めるにはまず、相手にそう呼んでもらわなくちゃいけないのに。
そんな私にある時、絶好の機会が訪れました。遊びに行った香港の某所のスターバックスで、オーダーするために長蛇の列ができている。注文を間違えないように、お客が皆名前を言って、カップにもそれを書いたものが渡されるシステムでした。日本では見慣れないけど、これを利用しない手はありません!
香港のスタバでAmyはついに
さあ!デビューだ!普段列に並ぶのなんか大嫌いなんですが、この時はドキドキわくわくしながら順番待ちをしました。名前を聞かれたら堂々とエイミーだと名乗ろう、カップにもAmyって書いてもらおう~。ところがなんと!私のすぐ前に並んでた女の子の番が来たとき、彼女が「Hi, I’m Amy」って言ったんですよ!よりによって!Amyが続いたら混乱するじゃん、名前を聞く意味がなくなるじゃん、えええええええ、ってなわけで、私はムツミに戻ってオーダーしました。
出鼻を挫かれたので、エイミーが実際にいつ世の中にデビューしたのか、正直覚えていません。
そして、せっかく世界に通用する愛称をつけたというのに、最近は外国の皆さんも器用に「ムツミ」って呼ぶのです。結局仕事とは関係ないところで、昔の友達が面白がって「エイミー」と呼んでくれるだけ。悔しいのでアコガレニストのブログでもこっそりAmy併記をしています。