Black Swan



2023.04.28
雨宮睦美


単純に白鳥のあとに黒鳥を並べてみたかったのでこうなりました。

ナタリー・ポートマンが主演してアカデミー賞を獲った、2010年の映画「ブラック・スワン」。その頃すでに、忙しさ回避のため、「ドラマや映画などの映像を見るのは基本的にあきらめる」生活をしていた私は、友達が送ってくれた動画データでこの作品を見ました。違法なんだよなあこれは、と思うと、ただでさえ気味悪い映画がいっそう後ろめたい雰囲気になって、それはそれで印象深かったです。

もう一度見たいかと聞かれたら多分断ると思うくらい、精神的に重いし幻覚と現実の境界がわからなくて、ほんと後味の悪いお話です。でも、ナタリー大熱演。面白いことは面白かった。

NYで暮らす優等生のバレエダンサー(ナタリーちゃん)は、真面目にストイックに、頑張ってバレエにすべて捧げているのに、どうも今一つ伸び悩んでいます。次の公演では「白鳥の湖」をフランス人演出家でやることになっているものの、純情可憐な白鳥役ならお手の物の彼女には、一人二役で踊る官能的な黒鳥が、うまく踊れない。主役に選ばれたい。でもこのままじゃライバルに負けてしまう。一体どうすれば。。。

ライバル役のミラ・クニスも印象に残るいい演技でした。白鳥も黒鳥もこなせそうで、適度に遊んでさばけていて、結局は登場人物の中で一番健全でまっとうだったのかもしれません。

練習に疲れて家に帰ると母親(バーバラ・ハーシー)が待ち構えていて、過干渉。自分が叶えられなかったプリマの夢を、娘に託すステージママ。なんか愛情の向け方がいびつで、これも気持ち悪い。この女優さんはどこで見たのか若い頃可愛かったイメージがあったけど、いい感じに年取ってました。

そして年取ってたといえばウィノナ・ライダー!最後にクレジットで名前を見るまで、出ていたことさえわからなかった。バレエ団のかつてのプリマ、去り行く老兵という役どころでした。私は昔「似ているね」とか言われてちょっとうれしかっただけに、非常に複雑な心境(笑)。

好みもあるのでしょうが、演出家役のヴァンサン・カッセルがエロエロしててなんかまた気持ち悪いので、これは女優たちの映画だなあと思いました。

まあとにかく、ナタリーちゃんがどんどん追い詰められて狂気を帯びて行って、クライマックスの「白鳥の湖」の幕が開いてもギエエ、っていうことが次々起きて、一体どうなってしまうのか、目が離せません。目を離さず見てたけど、私には結末がよくわかりませんでした。あんまりネタバレしてもいけないのでこの辺でやめますが、爽快な気持ちにはなれませんので、これから見る人はお気をつけください。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya/


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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