36年目の同期会
雨宮睦美
何を隠そう、私が働き始めたときの元号は「昭和」でした。最後の昭和入社なのです。
年が明けた自分の誕生日に天皇が崩御されたので、とりわけ強く印象に残っています。
で、あれから35年。私は子役だったとか飛び級したんだとか謎の言い訳(嘘)でごまかしたりもしましたが、35年前にすでに大人になっていたのかと思うと気が遠くなるような感覚ですね。22歳の頃、50代になるなんて人生終わっているイメージだったけど、実際に年を取ってみると、想像していた50代にはほど遠かった。
さて、昭和と言いながら、私が新卒で入った会社は西暦の下二桁で入社年度を表現していました。なので1988年。通称88(ハチハチ)です。
他の業界や会社はどうなのかわからないけど、「同期」の意識がすごく強いところだったので、社内の先輩と打ち合わせしていても、「入社いくつ?ああ、88かあ、そーすると●●や〇〇も同期かー」「先輩は74ですよね。強烈な個性の方が多いですよねー」みたいな会話になることが多かったなと思います。
でね、80年代入社の人たちは、なぜか8月に同期会をやるんです。8月1日には81年、2日は82年、3日は83年、という具合に、SNSに集合写真がアップされているのを眺めるのは、夏の風物詩のひとつでもある。
ところが我が88はあんまり同期会をしてきませんでした。入社25年記念、として10年前の開催が直近だったのかな。別にいがみあってるわけでもなかったはずですが、毎年8月8日は何事もなく通り過ぎていきました。ゴルフ好きが集まって、同期コンペなどやってたこともあるようだけど。
そんな私たちが、今年は8月8日に集まって宴会したんですよね。100名以上いた同期のうちの20名ちょっとで。
早い人は入社して数年で辞めていたし、私も30過ぎて辞めたし、去年は早期退職を選んだ人もいたし、すでに定年を迎えた人もいます。転職や起業、転勤や移住、介護や闘病。最近は離婚や再婚はあまり聞かなくなったけど、子どもが結婚したりや孫が誕生した人もいる。亡くなる人もいる。人生の色んな局面と皆向き合ってるんだよなあ、としみじみ。
社会的な立場なんて、一周回ってあんまり意味ないよねっていう年頃でもあります。でもこんな年になっても、悪ガキは悪ガキで、マドンナはマドンナで、外見は多少変わっても皆元のままだな。「ほんっと、バカだよねえ」とか「おまえさ、そういうところがダメなんだよ」とか、お互いズケズケ言い合えるのもありがたいことです。
学生時代の友だちとも、もはや血のつながらない家族みたいな感覚になってきているけど、会社の同期というのはそれともちょっと違う、でもやっぱり親戚的な存在でしょうか。
子供の頃の失敗より、20代そこそこの生意気盛りの過去のほうが、恥ずかしさは強いと思うんです。大人ぶったりカッコつけたり、気負ったり。そしてそういう時代のお互いの公私(黒歴史というのか)を知られているけど、なんかもう、いいか!とか。
すごい仲良し、大親友、っていうわけでもない距離感でも、こうして久しぶりに集まって、皆がそれぞれに頑張っているということが、自分にとっても何か妙なモチベーションになるんだな、ということを実感した夜でした。