一世紀のご生涯



2023.02.16
内野順子


こんにちは!

福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。

ご葬儀の司会をしていますと、ご遺族やご親族、ご会葬の方々からいろいろなことを尋ねられます。 ご宗旨に関することや、仏具のこと、様々な手続きについてなど。なので、私たち司会者も日々勉強しておかねばなりません。 ですが、知識だけではなく、ご遺族に安心していただけるように気を配るのも私たちの役目。

ある日のご葬儀でこんなことがありました。 ちょうど1年ほど前、100歳のお祖母様のご葬儀。 老衰でいらしたということでした。

喪主であるご長男とお話をしていますと、 浮かない顔でおっしゃるには、

「お袋が施設に入ってから、忙しさにかまけて実家もそのままになっていたので、先週、少し片付けをしたんです。で、僕の自宅には仏壇が大きすぎるので、新しい小さめの仏壇を買ったんですよ。近いうちに魂抜きをして、こちらに移そうと思っていた。 そしたら、こんなに急に母が亡くなってしまってね…。 仏壇を買ったのが良くなかったのかな、と気になってね」

宗派にもよりますが、お仏壇を引っ越すときには、お寺様にお願いして「魂抜き」をする方がいい、と言われています。が、今回の場合、それが間に合わなかったのですね。

私は喪主様に申し上げました。

「きっと、安心なさったのではないでしょうか?これからは、ご長男様のお宅で、ずっと懇ろに供養していただけると。お母様はきっと喜んで逝かれたと思いますよ」

すると喪主様は「そうかな」と、少し安心した顔になられ、目頭を押さえられました。

「一世紀の人生のお見送りは華やかに」とのご遺族の希望で、赤やピンク、チューリップやスイートピー、色とりどりの明るい春のお花でのお別れとなりました。

一言に100歳と言いますが、戦中・戦後も乗り越えて来られた方。きっとたくさんのご苦労もおありだったと思います。 長い間、本当にお疲れ様でした、と手を合わせました。

⭐︎葬儀の中で垣間見る家族・友人・人と人との心のふれあい。心温まるエピソードを綴った私の著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」(花乱社)。 好評発売中です。ネット書店でもお求めいただけます。

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内野順子

大学在学中にアナウンスサークルに所属しブライダル・イベントの司会を始める。 以来、約8,000件の披露宴、約1,000件のイベントで司会を務める。 40代から葬儀司会に携わり、現在年間250件以上の葬儀司会に加えイベントも務めるマルチ司会者として活動中。 葬儀では、温かな司会をモットーとし,終活カウンセラーとしても活動、司法書士や行政書士などとコラボし、セミナーを定期的に開催。 2022年4月、葬儀で垣間見る家族や友人らとの心温まるエピソードを綴った著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」を全国出版。 福岡県太宰府市在住。家族は28歳の長男。


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