別人格の誕生



2023.02.17
雨宮睦美


新しい名前をゲット

私の名前は姓名の両方にMが2つずつあって、はっきりしないというか、みゃーみゃーとくぐもった音になってしまいます。特に海外の方にとっては、アメミヤもムツミも非常に発音しづらそうで、なんか申し訳ないなーという思いがいつもありました。

2011年、とある仕事で中国に出張したとき(あの東北大震災の直後でした)、同行した中国系カナダ人の方が、「英名をつけてあげよう」と言ってくれたのです。そうよね、アジア系の人って自分で英語名つけたりしてるし、日本人も赴任先でDavidとかBobとか名刺に入れているよね。海外仕事ってそんな頻繁にあるわけではないけど、私もやってみたい!とお願いしたことで、Amy(エイミー)というミドルネームが誕生しました。

やっぱりMは入ってるけど、エイミーには何かこう、きっぱりした印象があります。みゃーみゃーもやもやしていた私も、この名前ならカッコよく、てきぱきと仕事をこなしていけるんじゃないか。なーんて思ってFacebookの表記にもAmyを入れ、それでは飽き足らず名刺もMutsumi Amy Amemiyaで作り直しました。

もうすっかり生まれ変わった気分。新しい私。新しい明日。しかし、私は肝心なことを忘れていたのです。

名乗るチャンスがない

そうなんですよ。こんな時に限って、エイミーとして初登場する出番が驚くほど巡ってこない。元からの知り合いは「何、どしたの?アミ―って誰?」とか言って、正しく読んでさえくれません。「仕事ができるエイミー」のイメージを高めるにはまず、相手にそう呼んでもらわなくちゃいけないのに。

そんな私にある時、絶好の機会が訪れました。遊びに行った香港の某所のスターバックスで、オーダーするために長蛇の列ができている。注文を間違えないように、お客が皆名前を言って、カップにもそれを書いたものが渡されるシステムでした。日本では見慣れないけど、これを利用しない手はありません!

香港のスタバでAmyはついに

さあ!デビューだ!普段列に並ぶのなんか大嫌いなんですが、この時はドキドキわくわくしながら順番待ちをしました。名前を聞かれたら堂々とエイミーだと名乗ろう、カップにもAmyって書いてもらおう~。ところがなんと!私のすぐ前に並んでた女の子の番が来たとき、彼女が「Hi, I’m Amy」って言ったんですよ!よりによって!Amyが続いたら混乱するじゃん、名前を聞く意味がなくなるじゃん、えええええええ、ってなわけで、私はムツミに戻ってオーダーしました。

出鼻を挫かれたので、エイミーが実際にいつ世の中にデビューしたのか、正直覚えていません。

そして、せっかく世界に通用する愛称をつけたというのに、最近は外国の皆さんも器用に「ムツミ」って呼ぶのです。結局仕事とは関係ないところで、昔の友達が面白がって「エイミー」と呼んでくれるだけ。悔しいのでアコガレニストのブログでもこっそりAmy併記をしています。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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