3月12日(日)演奏会のお知らせ
雨宮睦美
スロースターター
私は大人になってからバイオリンを始めました。2歳からピアノを弾いていたので、譜面は読めるし音感も悪くないはずだけど、弦楽器は全く勝手が違います。最初についた先生からは、「大体あなたはどうしたいのか。今さら音大を目指すわけでもなければ、プロになれるはずもないのに、お金と時間を使ってよくやるわね」と呆れられました。
多分スポーツや語学もそうですが、小さな子なら自然に体得できる技術も、頭が凝り固まった成人後にはなかなか難しい。でもやるなら少しでも上達したいしきれいな音を出したい、という思いだけが先走り、悪戦苦闘、試行錯誤を続けてきました。
オーケストラとの出合い
しばらくは師匠と向き合うだけの日々だったのが、ある時チェロ弾きの友だちに「アマチュアのオーケストラを見学しに行くんだけど、一緒に行かない?」と誘われて、わけもわからないまま入団することになり、環境が一変します。これまた慣れるまでは本当に大変で、まず皆が話している言葉がわからない。曲名や用語を略すのですね、チャイ4(チャイコフスキーの交響曲第4番)、ドボコン(ドボルザークのチェロ協奏曲)、コンマス(コンサートマスター)、ストバイ(ファーストバイオリン)、2プルの裏(2列目で客席から遠い方の席)、もう何が何やら。オケの作法も何も知らないし、曲もほとんど聴いたことがない。週1回3時間の練習、春と秋の演奏会とそれに向けた合宿、楽譜の準備に音源の確認に、団の運営のためのいろんな活動。もちろん家での自主練習は必須。半年くらいは発狂寸前だった気がします。
先生以外でバイオリンを弾いている人たちを初めて大量に目にしたのも衝撃でした。うまい人もそうでない人もいるし、楽器の構え方や弾き方も人それぞれだし、バックグラウンドも年代も皆違う。バイオリン以外の弦楽器、管楽器にも打楽器にも個性的な人がたくさんいる。バラバラの人たちが集まって、指揮者のもとで一つの音楽を合奏していく、っていうのが、これすごいことだなって思って、すっかり夢中になっていきました。
オーケストラとの出合いその2
慣れとは怖いもので、あんなに必死で食らいついていた日々が過ぎると、いつしか手抜きの仕方を覚えていきます。そりゃあ少し楽をしながらでないと、とても心身がもたないのだけど、自分の緊張感のなさが気になるようにもなっていきました。
そんなときに新しいオーケストラとのご縁ができます。いくつもの有名大学オーケストラのOB、OGの皆さんが中心になって生まれた「友好音楽祭オーケストラ」は、演奏会のゲストに毎回ヨーロッパのプロ奏者が参加するという、なんとも贅沢な楽団でした。昔モーニング娘。が全盛期だった頃、何期生だかの子に対して誰かが「自分は何もしてないのに、自動的に年末の紅白出場が約束されてるって、すごいことだよね」と皮肉を言っていたのを思い出します。「なんでこんなすごい会にこんな人が出るの」って思う人もいるかもしれない。でもきっとそれも運のうちだから。
というわけで3月12日(日)14時から、第一生命ホールでチャリティコンサートです。ウクライナ支援にささやかながら協力します。よろしかったらお越しくださいませ!
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