Interview Tips
雨宮睦美
たまには仕事っぽいことも必要かしらと思って、朝から5つのインタビューが終わったところで、これを書いています。
私の主な仕事のひとつとして、企業からの依頼で(調査会社を経由して)、一般の消費者の方々に商品や生活習慣などについて、根掘り葉掘り聞く、というものがあります。一対一のこともあれば、数名まとめてグループで聞く場合もありますし、コロナ禍以降は対面だけでなく、オンライン上での実施も増えています。
以前このブログで、インタビューの極意とは、とにかく、聞く、聞く、聞くに尽きるのだ、というようなことを書いたんですが、それだけではあまり参考にしようがないかな、と思えてきました。打撃不振に悩む若手のバッターが、「どうしたらヒットが打てるようになりますか?」と聞いてるのに、「いいか、ピッチャーが球を投げるだろう、それを、打ち返せばいいんだよ」と答えてるみたいで。なんで野球にたとえてるのかわかりませんけど。
ということで、誰かに話を聞くときに、知っておくと多少役立つかもしれないTipsです。
ミラーリング
人って誰かと話をする時、無意識に相手の口調やテンポにつられるのです。お母さんが幼い子に話しかけるとき、「なんとかでちゅねー」って言っちゃうように。その特性を利用します。
もともと同化しやすい相手だったら不要ですが、今一つちぐはぐした場合は、相手に合わせるか、こちらのペースに巻き込むか、のどちらかです。例えばとってもゆっくり喋る人に対しては、こちらもテンポを落として、同じくらいにゆっくりと返すか、敢えてちょっと速めにしゃべることで、向こうの速度を上げさせて、会話全体のスピードを上げる。どちらでもいいですが、このテンポ感がそろっていたほうが、会話の運びはスムースになります。
声のトーンについては、常に高め、強めを意識します。インタビュー参加者は緊張のせいもあるのか、わりとボソボソしゃべる方が多いんです。こっちまで控えめなトーンで話していると、テンションが下がっていくというか、話が盛り上がりづらい。仮に相手が小さな声ではっきりしない調子だったら、こちらは無神経なくらい元気よくいくほうがいいです。寝起き状態の低血圧な人に「おっはよー!今日もいい天気だねー!」と呼びかける感じ。最初は「何なのこの人?」と面食らう相手も、徐々に引っ張られて血圧や体温が上がっていきます(イメージ)。もちろん、内緒の話をする状況では不向きです。
脱線
時と場合によりますが、あまりにすべてのことが整然と進行していくと、退屈が生まれるので、少し破調を入れていくほうがいいです。「ところで唐突ですけど、●●さんに似てるって言われません?」とか、「実は私もそれ持ってるんですよ!」とか、本筋と全然関係ないコメントをちょこっと挟む。大幅に外れてはダメですけど、ちょっと場が緩むとか和むのが大事。そして、嘘やとってつけたようなお世辞もNG。あくまで自然に。
敬語とタメ口
基本的に、相手が先輩であろうが娘、息子ほどの年齢であろうが、インタビュアーは敬語でしゃべります。「ですます」調だし、「おっしゃっていたように・・・」「召し上がりますか」「〇〇なさる時は~」っていう調子です。でも敬語も行き過ぎると逆にダレてくる。そういうときは、「ええ、そうなんだ!」とか、「でもこれは〇〇だよねえ」とか、適宜タメ口も混ぜることにしています。なれなれしくなると行き過ぎなので、敬意は保ちつつ、少しフランクに接する、というんでしょうか。
目立たない
これは何かというと、対面であれオンラインであれ、相手に見た目のインパクトを極力与えない、という心がけです。わかりやすくいうと、でっかいアクセサリーや濃すぎるメイク、派手すぎる色柄の服、ってな感じかな。そこに視線が行って気になってしまうようなものは身に着けないことです。黒子でいいのです。主役は相手ですから。
さあ14セッションのうち5つが終わりました。明日は4つ!