この物語はフィクションです
雨宮睦美
理想の上司
昔から謎だったこのランキング。何のために実施されているんだろうといつも思うのですが、明治安田生命が毎年新入社員(調査時点では就職予定の学生)を対象に行っているアンケート調査の最新結果がこちら。頼りになりそう、とか親身になってくれそう、とか、そういうイメージなんでしょうか。アナウンサーやテレビ番組の司会者なら、その仕事ぶりを見ていて好感を持つ、っていうのはまだわかる。でも、女性2位の天海さんなど、完全に「役柄から来る印象」で決めていますよね。https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2022/pdf/20230206_01.pdf
理想の外科医
世の中には、俳優の演じる役柄と現実を混同する人が、少なからずいる、ということを私が最初に知ったのは、中学生の頃だったかと思います(訂正:どうして中学生だと思ったのかわかりませんが、実際には私はすでに成人しておりましたww)。当時の人気ドラマで三田佳子さんがクールな外科医を演じる、っていうのがあって、なんだっけ、『外科医有森冴子』っていうんだわ。いかにも優秀そうな名前ですね、アリモリサエコ。で、三田さんに来るファンレターに「どうかうちの父の手術をお願いしたい」っていう依頼が結構ある、という記事を週刊誌で偶然読んだんです。そのくらいリアルで引き込まれるよ、っていう意味ならいいのだけど、フィクションのドラマの役者に本気で縋りたいってどういうことなんだろう、と思うと怖かった。今だとそういう手紙は米倉さんに届くんでしょうか。
理想の大統領
これに似た驚きは、後年アメリカのドラマ『ホワイトハウス(The West Wing)』でも感じました。マーティン・シーン(チャーリー・シーンやエミリオ・エステべスのお父さん)が大統領役を演じたわけですが、この時人気が高まるあまり、彼に本当のアメリカ大統領になってほしい!と熱狂する人たちがたくさん湧いて出たようです。ある年カンヌ広告祭で彼が講演したのを、私はリアルで聞いた記憶があります。まあ確かに大統領役がぴったりはまっていたとは思うけれど、理想(フィクション)と現実(ノンフィクション)の境目があいまいな人は結構いるってことですよね。
昔はドラマのエンディングに「この物語はフィクションであり、実在する人物や団体とは関係ありません」というような但し書きがありましたが、今でもあるのでしょうか…