アリとキリギリス



2023.04.22
雨宮睦美


20年くらい前、「7つの習慣」というベストセラーがありました。とても周りで流行っていて、本も読んだし、会社ではこれの研修もあって私も参加しました。
 
自分が目指すもの、大切にしたいものを頭の中に植え付け、そのイメージどおりになるように日々生活していれば、人生が望まない方向に進んでいってしまうことはないはず。だから「個人のミッションステートメント」を書くのだというところから始まります。(1)どのような人間になりたいのか(人格)、(2)何をしたいのか(貢献・功績)、そして(3)それらの土台となる価値観と原則を書く、というわけです。この時点で私はすでにちょっと苦しい。どのような人間になりたいかなんて、考えて生きてこなかったから。。。
 
物事を重要度(高・低)と緊急度(高・低)にまず分けるっていうのもあった。その中で、「重要度が高く、緊急度が低い」事象をいかに行うかが最も重要だということです。分けてみると大抵、どうでもいいけど緊急度の高いことに振り回されていることがわかる、だからそれをやめなくては、っていうけど、簡単ではない。
 
自分の人生の最後を思い描いて、それを念頭において今日という日を始めろ、というのもあって、1日、1週間、1ヶ月のタームで達成すべき目標を決める、そしてその管理に手帳を使うというのは新鮮だった。早速専用手帳を買ってみたりしたものです。
でも、やってみるとどうも私には馴染まなくて、早い段階で諦めました。計画を立ててそれに沿って動くのは、気持ちいいところもある反面、すべてのことにいちいち目的とかゴールイメージを持つのは疲れるものです。
研修の講師の先生にも思わず「ビジョンを持たないのがビジョン、っていうのはダメですか?」と質問した覚えもあります。多分私は、出たとこ勝負とか結果オーライみたいな方が性に合っていて、何も考えずに目の前のことだけをこなしていくのが好きなんだと思います。
 
なぜ「7つの習慣」を思い出したのかというと、最近友達と会ったとき、私には思いつきもしなかったことを、彼女がずっとしてきた、と言ったからなのです。「20代のときは30代向け、30代になると40代の、常に少しお姉さん向けの雑誌を私は読んできた」というのですよ。理由を聞くと、「その先がどうなるのか、予習というか心の準備をしたかったのかもしれない」と。びっくりしました。20代の時にも30代の時にも、私は先のことなんて想像しようともしなかったから。そして、最近は雑誌がつまらなくなったせいもあるのか、その予習が楽しくなくなってきたのだそうです。
 
うーん。確かに、「●歳までに結婚する」「●歳までに子供を産む」とか、「●歳でこういう仕事をする」とか「●歳で○円貯める」とか、明確な目標を設定している人は少なくなかった気もしてきました。私はその間何も考えずにボーッと生きてたんだなあ。
 
自分ではアリのように働いていたつもりでしたが、まあ貯蓄もないし結婚もしてないし会社員はとっくにやめてしまったし、あれれれ?バイオリン弾いて楽しく暮らしてきた私はもしかしてキリギリスだったのかしら。でも今はキリギリスの時代だよ!っていう本も出てるみたいなので、よしとしましょうか。

雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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