趣味は何ですか②
雨宮睦美
最近、同世代の友達が次々に新しい趣味を始めていて(もしくは始めようとしていて)、話をいろいろ聞いているうちに、私も何か新しいことに挑戦したいなあという気持ちが湧いてきました。
10年前の私の「趣味」欄は、読書、バイオリン、ピアノ、ピラティス、ホットヨガ、っていう感じだったと思います。更新しないままできたけれど、今の実態はどうなのでしょう。
私にとって本と言えばもっぱら小説で、それもアメリカを中心にした英語圏のミステリやサスペンスばかり。できる限り原書で読むと決めていたので、20年くらい前は新しいペーパーバックが入らないかな、と丸善や大きな書店にパトロールに行くのが楽しかったです。そのうちKindleでなんでも読めるようになって、10年前はさらに専用端末がなくてもタブレットやスマホで読めるようになっていて、これがなぜか、ダウンロードすると満足して、読まなくなっていくのですね。
改めて見てみると、買ってダウンロードしたままの未読状態や、途中で放置しているものがわんさかありました。
日本の小説や翻訳された海外ものも、たまに書店へ行くと(コロナもあってすっかり書店から遠のいてしまったこの数年)、まとめ買いしたりなんかしていましたが、紙の書籍もやっぱり買って満足、積読になっています。本当に読書しなくなってる。趣味とか言えたものではありません。仕事で大量に文献など読むから、もう余力がないのかしら。
バイオリンは始めてから20年以上がたちました。技術的にはあまり成長してないですが、弾いていて楽しいと思えるようになったのは本当にここ数年なので、そういう気持ちを味わえるようになったことが何よりです。ソロでのレッスンも、室内楽のアンサンブルも楽しい。オーケストラもとても楽しい。掛け持ちしてどんどん大変になっているのに、その苦しみの中に、ああ幸せ、と思える瞬間がいくつもあります。これは今後も続けていく趣味のひとつです。
ピアノは半年くらい全然弾いてない、でもきっと再開し始めたらこれもやめられないだろうなあ。ピアノトリオや4重奏、5重奏など、こちらはソロではなくアンサンブル限定でまた挑戦してみようと思います。
実は他の楽器も演奏してみたい、とひそかに思っていて、だけどあまりにも現実的でない願望なので、仕事を引退してまだ体力と気力とお金に余裕があったら、レッスンを受けようかななどと妄想しています。チェロには憧れるけど、背負って歩くのが重そうだし、次にやるなら管楽器かなあ。子供の頃リコーダーが好きだったことだし、フルートとか。いっそ楽器ではなくて歌を習うのも面白そう。
さて、子供時代は苦手で嫌いでなんとかして逃げていたのに、大人になったら喜んでジムに通って苦労しているのが、スポーツです。大体いつも2つのスタジオに通って複数のレッスンを取っていました。6年前にあれこれ体調をおかしくして以降、ジム自体がなくなったりインストラクターが異動したりしたこともあって、ピラティスとヨガはやめてしまいました。今も腰が痛かったり足がしびれていたり、歩行が変なのですが、これをなんとかしたい一心で、パーソナルトレーニングとウォーキング専用スタジオの2か所にせっせと通っています。でもジャンルとしては「趣味」というより「リハビリ」ですね。
というわけで、「趣味」欄をアップデートすると、書けることは「バイオリン」くらいしかないことが判明しました。意外と寂しいものだわ。ついうっかり私が「趣味はバイオリンと、おいしいものを食べることです」と口走っているのを見かけたら、コラ!っと叱ってください。