痛い女



2023.06.14
雨宮睦美


子供時代~30代頃まで、わりとよく頭が痛くなっていました。原因はちょっとした気候の変化だったり、体調の不具合で、目を使いすぎたとき、肩こりがひどくなりすぎたときにも起こりました。大人になってからはお酒を飲むと飲んでいる最中からなんとなく頭痛が出てきたり、人や自分のつけている香水で気分が悪くなると同時に頭もずきずき、ということもありました。飛行機を降りたあとも頭痛は出やすかったなあ。

でもいわゆる頭痛薬をのむことには抵抗があって、なるべく我慢して痛みが通り過ぎるのを待っていたように思います。解熱鎮痛剤は身体から排出されにくく、蓄積していく、という説を読んでから、怖くなってしまったのですね。さらに、鎮痛剤は痛みを治すのではなく、痛いと感じる脳に「痛くないよ」と錯覚させるだけなのだ、というようなイメージもあったからなおさら。

もともと痛みには強いほうなのかもしれません(鈍感なだけともいう)。物理的に足をぶつけたり、指を切ったり、猫にかまれたりしたら、痛い!と感じますが、頭とかお腹が痛いのは、まあやり過ごせばなんとかなるか、と思ってしまって、ほとんど痛み止めをのむことがなかった。実際にのまなくても寝込むほどひどい痛みに苦しむことはありませんでした。バファリンくらいは名前を知っていたけど、イブプロフェンとかロキソニンは、確か医薬品の仕事をしたから覚えただけ。

そのうち、いつからか、ぴたっと頭痛が起こらなくなったのです。特に思い当たることはないのですが、ますます薬をのむ必要がなくなってありがたい。痛くならないからますます無理してしまうのはどうかと思うけども。

ところで、「痛い」はそもそも主観的、個人的な感覚だったのに、最近蔓延している「痛い人」という使い方は、本人が無自覚であるほどあてはまる、客観的な言葉なんですよね。「あの人の服装は若作りで痛い」とか、「自分ではかっこいいつもりなんだろうけど、かなり痛い」とか。面白いですね。

 

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雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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