受け継ぐジュエリー
青山陽子
こんにちは。
今日は「受け継ぐジュエリー」についてお話したいと思います。
ヨーロッパでは、「Bijou de famille(ビジュー・ドゥ・ファミーユ)」という素敵な習慣があります。
「宝石を家族で受け継いでいく」ということです。
永遠性の価値をもつ宝石だからこそ出来ることですね。
日本では、残念ながら、まだヨーロッパほどジュエリー文化が成熟していないので、「代々受け継がれている宝石が我が家にはあります!」という方は少ないかもしれません。
では、そもそも「ジュエリーを受け継ぐ」とはどういうことなのでしょうか?
私は「想いをつなぐ」ということだと思います。
たとえば、お母様やお祖母様から受け継いだリングには、家族の幸せな時間の記憶や、子供の頃大切にされた記憶があるかも知れません。
家族の絆の深さや、お互いに思いやる気持ちをジュエリーに込めて、受け継いでいくのです。
「受け継いだジュエリーなんてないわ」という方、例えばご自身が贈られたエンゲージリングを、今はほとんど身に着けずにタンスの中に眠ったままにしている方、いらっしゃいませんか?
本来であれば一番幸せな時に手にした、とても想いがこもったリングなのですから、ご自身の日々のパワーにして身に着け、いずれはお子様、お孫様にも受け継いで欲しいジュエリーなはずです。
ジュエリーに「想い」があるとすれば、それを身に着けて感じたい・・・
でも、そこで問題になるのは、「そのままの形では着けられないことが多い」ということです。
デザインが古くて今のファッションと合わない、ということも多々ありますよね。
エンゲージリングを身に着けていない方も、「このデザインでは今は着けられない」ということが理由かもしれませんね。
私はジュエリーの店舗を構えてから20年以上になりますが、その間に小さなメンテナンスなども含めますと数千点のジュエリーに関わり、身に着けられるジュエリーに蘇らせてきました。
そしてここ数年で確実にジュエリーのリモデル(リフォーム)のご依頼が増えてきました。
増えてきた理由には、最近よく言われる「サスティナブル」の考え方や、「バブル期に販売されたジュエリーが、子世代に受け継がれるタイミングに来ている」ということもあります。
でも大きな理由は、「物質の価値に重きを置く時代」から「精神的な価値に重きを置く時代」に変化しているからだと私は思います。
「受け継ぐジュエリー」というのは、まさに精神的なつながり、ストーリーを重視しています。
私はそのお気持ちに、ジュエリーのプロとして最善の方法でお応えしたい!そう思って毎日お客様と接しております。
是非お手元の「受け継いだジュエリー」「受け継いで欲しいジュエリー」を見直して頂きたいと思います。
さて次回は、ではジュエリーのリモデルってどうしたらいいの?というお話をしたいと思います。