重ね煮 その2
寺崎慈子
少し、重ね煮について書いてみます。
これは、長崎に住む食養料理家の小川法経慶先生によって1947年に考案された料理法です。
『料理は自然界と私たちをつないているもの。
だからこそ自然に感謝して畏敬の念と感謝の心で接し、愛情
をもって料理することが大切。
其の事を心掛け、実践した時に人は幸福感に観たされ健康も
得られる』
と先生は言われたそうです。
1947年と言うと、戦後間もなく、
手に入るもんは雑草、草の根、芋、芋づるなどなど…
そんな中、手に入らないものを羨み、落胆するのでなく、
今あるものに感謝して、
目の前にいる人をどうすれば、幸せにできるのか
を思い、考案されたのです。
重ね煮は今、目の前にある命と、とことん向き合います。
手に入らないものをうらやむみながら目の前の「いのち」を奪うのでなく、
真剣に向き合うことで、清く「いのち」を捧げてくれた食物に感謝と誠意
を伝えるのです。
食べ物が今、目の前にある事を有難いと思う「心」を養うのが料理することなのです。
目の前の「いのち」を、生かすも殺すも私たちの
次第なのではないかと思います。
コロナの時代、無い事を恨むのでなく、
今、目の前にあるものに感謝して行くことに
気づくことを教えてくれているように思います。
皆さまはどう思われますか?