重ね煮 その2



2021.06.03
寺崎慈子


少し、重ね煮について書いてみます。

これは、長崎に住む食養料理家の小川法経慶先生によって1947年に考案された料理法です。

 

『料理は自然界と私たちをつないているもの。

だからこそ自然に感謝して畏敬の念と感謝の心で接し、愛情

をもって料理することが大切。

其の事を心掛け、実践した時に人は幸福感に観たされ健康も

得られる』

と先生は言われたそうです。

1947年と言うと、戦後間もなく、

手に入るもんは雑草、草の根、芋、芋づるなどなど…

そんな中、手に入らないものを羨み、落胆するのでなく、

今あるものに感謝して、

目の前にいる人をどうすれば、幸せにできるのか

を思い、考案されたのです。

重ね煮は今、目の前にある命と、とことん向き合います。

手に入らないものをうらやむみながら目の前の「いのち」を奪うのでなく、

真剣に向き合うことで、清く「いのち」を捧げてくれた食物に感謝と誠意

を伝えるのです。

食べ物が今、目の前にある事を有難いと思う「心」を養うのが料理することなのです。

目の前の「いのち」を、生かすも殺すも私たち

次第なのではないかと思います。

コロナの時代、無い事を恨むのでなく、

今、目の前にあるものに感謝して行くことに

気づくことを教えてくれているように思います。

皆さまはどう思われますか?


寺崎慈子

50歳のときに大病にかかり、入退院を繰り返す。回復後、与えられた命に感謝するとともに、「これからの人生は自分の好きなように生きよう」と心に誓う。 「自分が本当にやりたいことは何か」と自問自答した結果、“歌”と“織り”にたどりつく。 その後、シャンソン歌手と織物作家になり、両方の夢を叶える。 60歳のときに自宅を改装し、『アトリエ&かふぇ悠遊』をオープン。若い世代に食や健康に関する正しい情報を伝えるべく、さまざまなイベントや勉強会を企画・開催している。


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