ベビーカーには轢かれろ



2023.02.16
雨宮睦美


小さすぎる交通事故

先日都心の地下鉄駅で、地上に出るエレベータを利用しました。ベビーカーを押して(そこにひとり小さな男の子)、もうひとりお兄ちゃんと思しき少年を連れた若いお父さんと乗り合わせたので、降りるときに「開」ボタンを押して、「どうぞ」と彼らを先に通そうとしました。別にお礼を期待したわけではないけど、若いパパは「どうも」でも「ありがとうございます」でもなく、会釈さえもなく、完全に私を無視して、でも自分が先に降りるのは当然、というテイ。ちょっとびっくりしているとまだ続きがありました。狭いエレベータ内で向きを変えたときに、ベビーカーの車輪が私の右のつま先に乗り上げたんですよ。思わず「いてっ」と声が出たけど、向こうは相変わらず無反応。そのまま何事もなかったかのように降りて去っていきました。何なのこれ一体。

思い起こせば、私がこれまでにベビーカーに轢かれたことは一度や二度ではないのです。相手がパパだったのは初めてだけど、大抵現場は駅で、左右どちらかの靴に車輪が乗り上げて、驚いているこちらに目もくれず、去られるパターン。もちろん、超低速で動いているものに轢かれたからって、ケガするわけじゃないし、騒ぐのも大人げないかなぁといつも泣き寝入りしてるんですが、なぜこうなるんでしょうか。もし私が「おいこら待てオラぁ、足轢いてんじゃねえぞ!」とか凄んだら謝るのかな。それとも逆ギレして「んなことでいちいちうるせえんだよ!」と返されるのかな。

ベビーカー利用者には「どんくさい歩行者は轢いてもOK」という暗黙のルールでもあるのでしょうか?私は利用したことがないので、詳しい方がいたら教えてください。

なぜに轢き逃げ???

そして何より謎なのは、乗り上げた後に誰もが無言で去っていく点です。子供の情操教育にもよくないんじゃないのかしら。まさか気づいていないのかしら。その昔自動車教習所の仮免試験の時、「縁石に乗り上げたらすぐブレーキを踏んで止まること」と教わった記憶がよみがえります(そのまま停止しなかったら一度試験に落ちたので、一層忘れられません)。

パパもママも、日々の子育てで疲弊していて、余裕がないのかな。轢かれたって別にいいんです。もし、「うわあ、すみません、痛くないですか?」なんて声をかけてくれていれば、「全然大丈夫ですよ。お二人連れてお出かけは大変ですよね」とか会話が弾んで、ちょっとお互い気持ちがほぐれるかもしれないよね。

今のところこの件には、「長いものには巻かれろ、ベビーカーには轢かれろ」と唱えて心を鎮めることで私は対処しています。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya

 


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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