一汁三菜の呪縛
雨宮睦美
ワンパターンのおばんざい
外食となるとビストロだカフェだおしゃれな店を求めて、スパークリングワインを飲まずにはいられませんが、家ではザ・和食。アルコールなし。やっとこさ自炊して料理をSNSにアップすると、皆が「偉いね」とか「美味しそうだね」とか誉めてくれるので、それで承認欲求が満たされています(笑)。
一度作ると翌日も同じメニューになるし、間で会食など挟まるので、大体作るのは週に2、3回。しかも自分のために食べたいものを作るだけなので、毎日毎日家族のためにずっと料理している人とは比べるのも失礼です。
それでも作るとなると「一汁三菜」という基本型から私はなかなか脱却できません。家でお酒を飲まないことも影響しているかもしれませんが、ご飯を炊いて、汁物を作って、主菜ひとつに副菜や小鉢。強迫観念のようなものがあります。規定演技だけで、フリーになるとどうしていかわからない感じ(そのたとえがわかりにくい)。
ワインに合う料理?
土井善晴さんという料理家が、「そんなもん、ご家庭では一汁一菜で十分なんですよ」という啓発?活動に勤しまれていて、その言葉には救われつつも、何となくやめられない。なぜなのでしょう。
さてそんなとき、お友達から素敵な少量ワインをプレゼントされました。赤、白、ロゼ、どれもグラス1杯分なので、ひとりでも気軽に飲めそう。家で飲まない私もこれなら!と思って今夜は珍しくパスタを茹でたのです。
でもなんだろう、カルボナーラのはずが焼きうどんのように仕上がったよ。スーパーでタコを買ってきてセロリとパクチーと合わせてみたのに、おばんざい感が強くておしゃれじゃない。サラダも赤白グリーンで「ああ、イタリア風にしたかったのね」という気持ちだけが先行。スープに至っては、マッシュルームやいろんなキノコでチキンブイヨンなのに、豆腐や小ネギを入れたせいか、味噌汁に見えます。結局いつもの和食と代わり映えしない!しかも1皿少ない!
写真を撮って、半分くらい食べてから気づきました。あ!ワイン忘れてた!