贈り物ごっこ
雨宮睦美
小学生の頃、教科書に載っていた話に感化されて、「仲間内でちょっとしたプレゼントを日常的に贈りあうことは素晴らしいことだ」という概念が私の中で生まれました。特別なイベントではなく、本当に小さなものを、気軽に。
そういうことがさりげなくできたら素敵だなと思って、今でも気持ちはあるのに、なかなか実行できない。でもなんだっけあの話。確か、「贈り物ごっこ」だったっけ。
ネットって便利。「贈り物ごっこ」と入れて検索したら、大量の解説が出てきて、どうやらわたしがおぼろげに覚えていたこの話は『贈り物』というタイトルで昭和の小学生の国語の教科書に掲載されていたものです。文庫本もあるらしい。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/403650410X/hatena-blog-22/
驚くのは、私の記憶がごくごく断片的だったということです。
これはどうやら、仲間外れとかいじめ、といったことをテーマにした短編小説だったらしく、思春期にさしかかった少女たちの無邪気な残酷さとか、交友関係のひずみのようなものを描いていたようなのに、そうした要素は一切記憶にないのです。長雨の続く退屈な季節に、女の子たちが教室でささやかな贈り物の交換を始めた、いいなあ、私もそういうのやってみたいな、ということしか覚えていなかった。
ああやっぱり私は子どもの頃から、そういう、なんていうんでしょうか、女の子特有の駆け引きみたいなものをキャッチできない性質だったんだ。鈍感力万歳。
昨日集まったあるグループが、いつも気の利いた小さな贈り物をくれちゃう人たちで、ここには何のマウンティングも忖度も存在しなくて(多分)、この感じは私が「贈り物ごっこ」に共鳴してた素敵な世界そのものなので、思い出が美しくよみがえりました。私もなんとか頑張って小さな入浴剤タブレットを巾着袋に入れて皆さんに配りました。
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