一世紀のご生涯
内野順子
こんにちは!
福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。
ご葬儀の司会をしていますと、ご遺族やご親族、ご会葬の方々からいろいろなことを尋ねられます。 ご宗旨に関することや、仏具のこと、様々な手続きについてなど。なので、私たち司会者も日々勉強しておかねばなりません。 ですが、知識だけではなく、ご遺族に安心していただけるように気を配るのも私たちの役目。
ある日のご葬儀でこんなことがありました。 ちょうど1年ほど前、100歳のお祖母様のご葬儀。 老衰でいらしたということでした。
喪主であるご長男とお話をしていますと、 浮かない顔でおっしゃるには、
「お袋が施設に入ってから、忙しさにかまけて実家もそのままになっていたので、先週、少し片付けをしたんです。で、僕の自宅には仏壇が大きすぎるので、新しい小さめの仏壇を買ったんですよ。近いうちに魂抜きをして、こちらに移そうと思っていた。 そしたら、こんなに急に母が亡くなってしまってね…。 仏壇を買ったのが良くなかったのかな、と気になってね」
宗派にもよりますが、お仏壇を引っ越すときには、お寺様にお願いして「魂抜き」をする方がいい、と言われています。が、今回の場合、それが間に合わなかったのですね。
私は喪主様に申し上げました。
「きっと、安心なさったのではないでしょうか?これからは、ご長男様のお宅で、ずっと懇ろに供養していただけると。お母様はきっと喜んで逝かれたと思いますよ」
すると喪主様は「そうかな」と、少し安心した顔になられ、目頭を押さえられました。
「一世紀の人生のお見送りは華やかに」とのご遺族の希望で、赤やピンク、チューリップやスイートピー、色とりどりの明るい春のお花でのお別れとなりました。
一言に100歳と言いますが、戦中・戦後も乗り越えて来られた方。きっとたくさんのご苦労もおありだったと思います。 長い間、本当にお疲れ様でした、と手を合わせました。
⭐︎葬儀の中で垣間見る家族・友人・人と人との心のふれあい。心温まるエピソードを綴った私の著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」(花乱社)。 好評発売中です。ネット書店でもお求めいただけます。
*Facebookやってます* http://www.facebook.com/junko.uchino