生き方が逝き方



2023.03.07
内野順子


こんばんは!福岡の葬儀司会者&終活カウンセラーの内野順子です。

ある日の心に残るご葬儀のお話です。

60代の故人様は、ご定年まで大手生命保険会社のセールスレディ。いつもトップクラスの営業成績を挙げられる方で、その手腕を買われ、近年は新人セールスレディの指導役をなさっていました。

生涯独身で、余命を宣告されてからは、さすが保険の専門家、ご自分の自宅や財産などきちんと整理されて行かれた見事さでした。

葬儀はご親族のみの家族葬で行われました。最期のお別れが終わり、ご出棺となり外に出ると、斎場の外に、若い方からご年配の方まで、大勢の女性たちが待っていました。服装は様々ですが、皆さんビジネス用の大きな鞄を持っておられ、セールスレディの方々とすぐわかりました。

お棺が霊柩車に納められ、クラクションが高く鳴って霊柩車が静かに走り出しました。すると女性たちは手を合わせつつ、

「ありがとうー」 、「A子さん、さようならー」 、「お世話になりましたー」

次々に涙まじりの言葉を車に向かって投げかけました。

生き方が逝き方。ご家庭は持たれなかった故人様でしたが、きっと心豊かで幸せな人生だったに違いありません。多くの人の心に、永遠に生き続けることでしょうね。

 

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内野順子

大学在学中にアナウンスサークルに所属しブライダル・イベントの司会を始める。 以来、約8,000件の披露宴、約1,000件のイベントで司会を務める。 40代から葬儀司会に携わり、現在年間250件以上の葬儀司会に加えイベントも務めるマルチ司会者として活動中。 葬儀では、温かな司会をモットーとし,終活カウンセラーとしても活動、司法書士や行政書士などとコラボし、セミナーを定期的に開催。 2022年4月、葬儀で垣間見る家族や友人らとの心温まるエピソードを綴った著書「また、いつか。葬儀司会者が見た人生・愛・終活」を全国出版。 福岡県太宰府市在住。家族は28歳の長男。


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