インタビューは疑似恋愛
雨宮睦美
バブルで代理店入り
馬鹿なことばかり書きすぎたので、今回はお仕事のことなど。。。
私が就職活動をした頃はバブル期まっさかり。男女雇用機会均等法も施行されていました。何か面白いことをやれるところがいいなあ、女子だけ制服があるような会社はいやだなあ、なんてふわふわしていたら、書類選考だけでどこもかしこも落ちまくり。面接にこぎつけても、「君色が白いね、体が弱いの?無理しないで嫁に行けば」とか意地悪言われて終わり。ハラスメントという概念がない時代だから仕方ないですけども。苦労した末、第一志望の広告代理店にはなんとか補欠で引っかかって入ることができました。内定が出ていたのは他に1社しかなかったので、当時では考えられないダメ就活だったということです。
最初の4年間は国際部門でした。「君は帰国子女か?」「違います」「英文科か?」「日本文学科卒です」「ここを希望したのか?」「していません」「じゃあ何しにきた?」と言われて、こっちが聞きたいよ、と叫びたかったんですが、まあそこで英語の勉強もさせてもらったので、ありがたいことだなと今では思います。
希望かなってマーケティング局に異動
5年目を迎える頃に、希望していたマーケティング部門に配置転換されました。とはいえ、マーケティングが何かなんてよくわからず、なんとなく面白そう、程度でしたから、周りの人たちが皆すごく優秀で物知りなのを見せつけられて、何もできない自分に落ち込むことだらけ。向いていないのかなあ、と思っていた頃に、インタビューの仕事と出合います。クライアントからの依頼で、ある商品やサービスを使っている人、使ってほしい人などを集めて、座談会形式で話を聞く「グループ・インタビュー」というのがあるのです。英語ではFocus Group。
下っ端の私は、行われているインタビューを別室で見ながら、メモを取ったりクライアントにお弁当を出したりしていたのですが、ある時その進行役をやらせてもらったら、すごく楽しかったんですね。
起業していつのまにかインタビュー専業に
マーケティング局では8年働いて、その後私は会社を辞めて、なりゆきで起業することになるのですが、最初は幅広くマーケティングの仕事をしていたはずが、気づくと依頼されるのはインタビューばかり、というようになっていきました。
クライアントが聞きたいのは、最終的には、商品案AとBだったらどっちがおいしそうか、とか、どの広告メッセージが一番買いたい気持ちにさせるか、といったことなのですが、それにちゃんと本音で答えてもらうためにも、インタビューに参加している人たちがどんなバックグラウンドを持ち、どんなことを思って日々生活しているのか、全身を耳にして傾聴するようにしています。
あなたのことを知りたい
これは技術的なことではなくて、ほんとに私はあなたのことが知りたい、あなたの話が聞きたいんです、という思いをぶつけることが重要です。
恋人役で共演した俳優同士が実際に恋仲になるという話はよく聞きますが、そのくらいのテンションで毎回臨んでいます。相手がひとりずつだとまだ集中しやすいのですが、5人とか6人とかいると、全員に平等に愛を注ぐ慈母マリア、くらいの気合いと集中力が必要です。なので1セッション終わるとグッタリ、へとへとになります。さらにここ3年はコロナのせいでオンライン実施も多いため、画面越しに愛とか念を送るのはまた難しいなあと実感しています。
こちらの思い入れが強すぎて、相手がとんでもないことを言い出すハプニング、というのも何度かありましたので、次回はそのエピソードなどご紹介します。