福袋中毒



2023.02.23
雨宮睦美


かつて私は福袋が好きでした。そんなの、売れ残りの在庫処分に決まってるじゃないかと言われても、気に入らないものが入ってたらどうするのと聞かれても、どうしても買うのをやめられず、お正月には下手すると3つくらい、正月以外でも見つけると衝動買いしてしまうのでした。多分病気ですよ。福袋中毒。予約したり並んだりしてまでは買わないから、大抵残りものをゲットする程度ですが、それでも何店か回っていました。

ヒントとして「Mサイズ」とか「インナーが●枚、小物が●点」というのはありですが、中身が見えたりわかったりするのは邪道。わからないものに賭けるのが福袋の醍醐味ですからね。

 

開けてびっくり

もうワクワクドキドキしながら家に帰って袋を開けて、その頃には大体喜びより失望が上回っているわけです。このヘンテコな洋服どうするんだろう?なんであの店にこんな気が狂ったようなセンスのものが売られてたんだろう?悔やんでも後の祭り。だからほら、言わんこっちゃない、と皆に笑われる。それでもどうにか着られるものを見つけて自分を納得させて、どうにもならないものたちは、いずれ断捨離の養分となっていきます。

もうやめよう、こんなこと続けていちゃいけない、何度も誓うのにまた繰り返す、っていう中毒患者の典型から、でもある時突然、憑き物が落ちるように、私は「もういいや」と解脱できたのです。いらないものをわざわざ買っていた福袋時代を、バカだったわねーふふふ、と笑って振り返れるようになった私はもう大丈夫。平穏な日々が数年は続いたでしょうか。

しかし。中毒患者を陥れる新しい罠が登場します。

 

それはサブスク。

必需品を定期購入するタイプのはいいのですよ。必要だから買っているのであって。だけど、中には「今週(今月)は何が届くかお楽しみに」ってやつがある。これが危険なのです。気づけばその手のサブスクをいくつ契約していることか。毎週小さなお花が届く、コスメや雑貨が毎月届く、レンタルで毎月洋服が来る…この調子で行くと多分もっと増えてしまうのは明らかです。だって開けて見ないとわからないって、とても楽しいんだもん。

私はどうも、「驚きたい」らしい。意外なものに出合いたいのです。たとえそれが意に沿わない変なものだったとしても、「そう来るかー」とびっくりしたい。あーあ、せっかく克服できたつもりだった福袋病が完全に再発している。。。

どうか「福袋のサブスク」なんていう事業を誰かが思いつきませんように。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya

 


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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