四次元ポケット



2023.03.08
雨宮睦美


冬生まれのせいか、寒いのはそれほど苦ではなく(もちろん雪国に住んだこともないから呑気な発言ができるだけです)、たくさん重ね着すればいいやと思っています。夏はどんなに脱いだって暑いので、そのほうがつらいと思っています。それでも、冷え込んでくると周りが「ヒートテック」だ「極暖」だと言い出して、ああ、確かにインナーやタイツが保温素材だと暖かいだろうな、便利だな、と思い、思っているうちに春が来ます。携帯用カイロも同じ。そうか、コートのポケットに忍ばせたりすればいいのだな、なるほどね、と思うだけで冬が過ぎていきます。なんで実装できないのか。

そもそも私は「あったら便利」なものを身に着けたり持ち歩く習慣がつかないんです。「ないと困る」必需品も時々忘れるのだから仕方ないでしょうか。パスモとかハンカチとかね。

今でこそ手指消毒は当たり前になってしまいましたが、ウェットティッシュや消毒ジェルを持ち歩く発想も全くなかった。骨付きチキンなんか食べちゃって手がベトベトになっていると、必ず気が利く人が周りにいて、ウェットティッシュを分け与えてくれるのです。いつも申し訳ない、ああ、私もこういうものを常に持っている人になろう、と誓っては、忘れてしまいます。

のどあめとかチョコとか、小さなお菓子をバッグに隠し持ち(別に隠してはいないのか)、自分だけじゃなくて周りに「どうぞ」と勧める友人もいます。いつももらってばっかりで悪いなあ、たまにはお返ししないと、とか思って、だけどそういう習慣がないために全く返せない私。ああ劣等感。なんでこうなの。

他にもあるよね、携帯用シミ抜きとか、ばんそうこうとか、ミニ裁縫セットとか、そそっかしいなら相応に準備しておくべきなのに、ない。でも誰かが必ず、差し出してくれる。ありがとうドラえもん。

不思議なのは、そんな彼女たちに限って、持ってるバッグが小さいわけですよ。まさに四次元につながっているとしか思えない。私のこの無駄に大きくて重いバッグは何。

結局いつも私は、こうした素晴らしい友人たちに助けてもらってばかりの、のび太なのでしょうか。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya/

 

 

 


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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