一握の砂



2023.05.26
雨宮睦美


働けど働けど猶、わが生活楽にならざり。ぢっと手を見る。
 
今日も今日とてギリギリガールズ。複数じゃないしガールでもないのに失礼します。いやほんと、締め切りが4つ連なって、今週はどうなることかと思いましたが、何とか全部納品できました。週末はオーケストラの本番だというのに、練習どころではなかったわ。今夜は失われた睡眠を取り戻す方に時間を使おう。
 
昨日は給料日でしたが、こんなに忙しい割に売上はあんまりないから、やりくりが大変です。そして、やっとのことで振り込んだ給与と次回のクレジットカード引き落としがほぼ同額ってどういうこと?あー、母の病院代も入ってるのか。
 
さて、こんな状態のある朝、テレビ番組で非正規雇用の特集をしているのを見ちゃったんですね。今や労働人口の4割近くを占める非正規雇用者。その7割が女性で、いわゆるパートさん、派遣さんです。彼女たちはこんなにつらい思いをしているんですよ、という内容でした。
 
確かにひどい話もあるし、働く人の権利はちゃんと法律で護られるべきだと思いましたが、一方では彼女たち側からえ?と思うような発言も多々あって、あーこれはお互いわかり合えないかもなあと、考えさせられました。かつて会社員時代に従業員組合の委員をやってた時を思い出します。やりがいのある仕事はしたい、でも責任取ったり矢面に立つのはイヤだ、って真顔で言う人が少なくなかったのです。うむむー。
 
●正社員と同じ働きをしてるのに評価されない!
 
これはねー、「同じ」って難しいですよね。どんな仕事に携わっているかにもよるけど、自分では同じと思っているのが、客観的にそう見えていない場合もある。評価するのは他者だし、自分の評価が低い=非正規雇用の評価が低いとは限らない。「偉いね」とか「いつもよくやってるね」とか、構ってもらえばいいのかな。
 
●何年もこの職場にいるのに、一向に賃金が上がらない!
 
怒ってる人多いけど、私だって何十年もそうですよ。下手したら昔より下がってる。
給料って特別な泉のような財源があるのではなく、売上から支払われてるわけで、その売上が調子悪ければ、というか景気が回復しなければ、値上げしたくてもできないこともある。と、いうようなこと、少し想像してみてほしいなと感じました。
 
●旦那が稼いでるんだからいいじゃん、と言われる!
 
それは言われるでしょう。言わせておけばいいんじゃないの。旦那のいない私はお金を稼げなくなったら文字通り生活が立ち行かない。それに、「扶養の範囲を越えたくない」という声をすごくよく聞くけど、133万円以内でって、なんだかこの扶養控除の制度はおかしくないですかね。
 
まあ別に喧嘩をしたいわけではないのですが、非正規雇用だから損してる!っていうのは少し違うんじゃないかなあって思ってしまった。こんなこと書いたら怒られるのかしら。でもいろんな人がいろんな事情を抱えて働いているんだし、立場はどうあれ、働いてお金を得るっていろいろ大変なのですよ。
 
 

雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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