同姓同名の謎



2023.05.31
雨宮睦美


子供の頃から、クラスに同じ苗字の子、同じ名前の子が複数いるということはよくあったし、周りにはたくさんのケイコやナオコやケンジやヒロシがいました。大学生の時、広告研究会にいた友人が「ひとつ上の先輩にトモコさんが3人いる」と言って、Aトモさん、Bトモさん、Cトモさん、と使い分けていたのをぼんやり覚えています。序列があるみたいでその呼び名はどうなのか、という気もするけど、ちなみにAトモさんは、当時短大2年生だった山口智子さんです。

苗字も名前も全く同じ、漢字まで一緒、となると、少し珍しくなりますよね。まあでもいないわけではない。ネット上で誰かの名前をサーチしたら(例えば古い友だちを探そうとして)、同姓同名の人が多すぎて断念する、という経験が何度もありました。英語圏の名前でもそうだし、日本人でも、世の中に同じ名前の人ってこんなにいるんだ!と驚いたものです。

私は自分自身の氏名が、珍しくはないけど少し変わっているので、まず同姓同名の人と遭遇することはないなあと思ってきました。ところが!何十年も前に(まだ個人情報保護の観点がなかった時代)、父親の高校の同窓生名簿っていう、ものすごい分厚い名簿が家に送られてきたことがあったのですが、その山梨県立日川高校の何十年分の学生の名前の中に、雨宮睦美さんを3人くらい発見して驚愕したのです。雨宮という姓は山梨では非常によくあるもので、それこそクラスに2-3人いるのは普通らしいのですが、ファーストネームまで同じ人が複数いるなんて、ちょっと信じられませんでした。

そして、時は流れて今から5年ほど前。

唯一持っているブランド品である、腕時計のメンテナンスと電池交換のため、シャネルのショップを訪れたときのことです。名前を言って時計を渡して、しばし待っていたところ、係の方が戻ってきて、住所や生年月日を聞かれました。なんでそんなこと?と私が怪訝そうな顔をすると、「同じお名前のお客様が他にいらっしゃるためです」と言うんですよ。「えーそれはないでしょう、あ、そうだ、私が手違いで二重に登録されていて、名前がダブってしまったんではないですか?」と聞いたんだけど、そんなことないんですって。だから「世田谷区・・・」と言ったとたんに、私が特定されたようで、無事に手続きは完了しましたとさ。

「もうひとりの雨宮睦美さんは世田谷在住ではないんですね?」と聞くと、「詳しいことはお答えできませんが、はい、横浜市の方です」だって。全く同じ名前の別な女性が、シャネルのJ12の同じ時計を、同じショップで購入していた、ということになりますね。うーん。やっぱり信じられない。その人はもしかすると日川高校の出身の方なのかしら。結婚で改姓して同じ名前になったのかしら。いろいろ興味深いし、会って話してみたいですが、もちろんそれ以上の個人情報を教えてもらうことはできないので、謎は謎のままです。

https://www.facebook.com/mutsumi.amemiya/


雨宮睦美

マーケティングプランナー、モデレーター(インタビュアー)。 東京都出身。 1988年青山学院大学文学部卒業後、博報堂に入社しました。 国際業務局(4年間)、マーケティング局(8年間)の勤務を経て2000年に退職。 2001年に有限会社オルテンシアを設立し、前職の流れでマーケティング業務を請け負ってきました。食品、飲料、化粧品、自動車、通信機器等、様々なジャンルの企業のお仕事に携わっています。中でもインタビュー調査を得意とし、企業トップや大学教授、ジャーナリストや編集者等の有識者取材を始め、一般消費者へのグループインタビューやデプスインタビューなどで、これまでに話を聞いた人の数は、のべ数千人を超えます。


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