同姓同名の謎
雨宮睦美
子供の頃から、クラスに同じ苗字の子、同じ名前の子が複数いるということはよくあったし、周りにはたくさんのケイコやナオコやケンジやヒロシがいました。大学生の時、広告研究会にいた友人が「ひとつ上の先輩にトモコさんが3人いる」と言って、Aトモさん、Bトモさん、Cトモさん、と使い分けていたのをぼんやり覚えています。序列があるみたいでその呼び名はどうなのか、という気もするけど、ちなみにAトモさんは、当時短大2年生だった山口智子さんです。
苗字も名前も全く同じ、漢字まで一緒、となると、少し珍しくなりますよね。まあでもいないわけではない。ネット上で誰かの名前をサーチしたら(例えば古い友だちを探そうとして)、同姓同名の人が多すぎて断念する、という経験が何度もありました。英語圏の名前でもそうだし、日本人でも、世の中に同じ名前の人ってこんなにいるんだ!と驚いたものです。
私は自分自身の氏名が、珍しくはないけど少し変わっているので、まず同姓同名の人と遭遇することはないなあと思ってきました。ところが!何十年も前に(まだ個人情報保護の観点がなかった時代)、父親の高校の同窓生名簿っていう、ものすごい分厚い名簿が家に送られてきたことがあったのですが、その山梨県立日川高校の何十年分の学生の名前の中に、雨宮睦美さんを3人くらい発見して驚愕したのです。雨宮という姓は山梨では非常によくあるもので、それこそクラスに2-3人いるのは普通らしいのですが、ファーストネームまで同じ人が複数いるなんて、ちょっと信じられませんでした。
そして、時は流れて今から5年ほど前。
唯一持っているブランド品である、腕時計のメンテナンスと電池交換のため、シャネルのショップを訪れたときのことです。名前を言って時計を渡して、しばし待っていたところ、係の方が戻ってきて、住所や生年月日を聞かれました。なんでそんなこと?と私が怪訝そうな顔をすると、「同じお名前のお客様が他にいらっしゃるためです」と言うんですよ。「えーそれはないでしょう、あ、そうだ、私が手違いで二重に登録されていて、名前がダブってしまったんではないですか?」と聞いたんだけど、そんなことないんですって。だから「世田谷区・・・」と言ったとたんに、私が特定されたようで、無事に手続きは完了しましたとさ。
「もうひとりの雨宮睦美さんは世田谷在住ではないんですね?」と聞くと、「詳しいことはお答えできませんが、はい、横浜市の方です」だって。全く同じ名前の別な女性が、シャネルのJ12の同じ時計を、同じショップで購入していた、ということになりますね。うーん。やっぱり信じられない。その人はもしかすると日川高校の出身の方なのかしら。結婚で改姓して同じ名前になったのかしら。いろいろ興味深いし、会って話してみたいですが、もちろんそれ以上の個人情報を教えてもらうことはできないので、謎は謎のままです。