心の恩師
寺崎慈子
先日も書きましたが、3人目の子どもを失ったことがきっかけで、
アドラー心理学との出会いがありました。
嫌なことがあれば、良い出会いが必ずあるものです。
私が関わる35年前は、野田俊作という精神科医が、
日本にアドラー心理学を持ち帰ったばかりの頃でした。
今回、検索してみたらつい最近72才で亡くなったことを
知りました。
彼は大阪大学医学部卒業後、シカゴ・アドラー研究所で
日本人で初めてアドラー心理学を学ばれた方です。
その頃、初代の日本アドラー心理学会会長をされていました。
そんな初期の頃、大阪から見える彼のオープン・カウンセリングで学ぶことができました。
野田先生に対して一人の相談者を真ん中に、
私たち学んでいる者や悩みを抱えた傍聴者が、大勢ぐる~っと取り囲んでいます。
普通、相談者は誰とも顔を合わせたくないのでは?とビックリしたのですが、
明るい笑い声までするその雰囲気に、だんだん慣れてきます。
その効果は、相談者が周りの存在から励まされることと、
悩みを持っている周りの方も聞いているだけで、
先生の答えを聞いて「あ!そうか~」と自分の悩みが解決してしまうことが多いのです。
大体悩みの中身は、似たり寄ったりですからね~
アドラー心理学は「原因は何か?」を追わなく、「これからどうするか?」に
焦点を当てます。
そして、「性格は変えられる、死ぬ直前でも変えられる」と、定義しています。
あの野田先生の冷静、沈着な答え、今までの心理学にない解釈に
いつも、新鮮さと驚きを覚えたものです。
心からご冥福をお祈りします。